真夜中の太陽

リーダーになってからも気を抜かずに頑張ってきただけに、突然起きたクレームに信じられない気持ちだった。

もしかしたら、どこかで客に不快な思いをさせていたのかもしれないと、クレームの内容を聞かされる。



「昨日お弁当を買った人が『温めてほしい』と言ったら断られたって」



内容の第一声に耳を疑ったが、黙ってそのまま聞いた。



「でも、その人の前後の客には君が自分から『温めましょうか?』って声をかけていたって。なぜ、客を差別するのかって、すごく怒っていたよ」

「あたし、すべてのお客さんに聞いていますし、断ったことなんて一度もありません」

「うん、それは僕も分かってる」



店長は事実を確認しようと監視カメラのビデオを何度も見たけれど、あたしのそういう行動が見受けられなかったことを話してくれた。



「まぁ、客の勘違いかなと思うけど、とりあえず報告しとこうと思ってね。レジでの対応には今まで以上に気をつけるように他の人にも伝えておくから、沢井さんもちゃんと見ていてね」

「分かりました」



ショックだった。

見に覚えのないクレームが、名指しできたことが。

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