真夜中の太陽
『成長したね』
永輝の嬉しそうな顔。
頑張ってやってきた仕事。
それをすべて裏切り、台無しにしてしまったような気分だった。
あのキス以来、永輝は何事もなかったかのように訪れる。
かんなさんのことも何一つ話題にならない。
キスもあれっきりで、そういう雰囲気にさえならなかった。
「元気ないね」
クレームの件があったその夜、永輝がやってきた。
あたしの浮かない様子を察知した永輝が顔を覗き込む。
「そう?気のせいだよ」
「そうかな」
クレームの件を話したかったけれど、失望させたくなくて黙っていた。