真夜中の太陽
会計が済み、笑顔で女性客を見送る。
ズルズルと引きずってちゃ、いけない。
気持ちを切り替えないと、とんでもないミスを犯してしまいそうだ。
「ちょっと!」
ほどなくして、さっき店を出たばかりの女性客が血相を変えて店に飛び込んできた。
目深にかぶった帽子で表情は隠れていたものの、ただ事じゃないことはすぐに分かった。
「どうかされましたか?」
尋常じゃない慌てぶりで、その声に接客を終えた村岡くんもレジのところにやってきた。
「どうかされましたか、じゃないわよ!見てよ、これ!」
そう言って、さっき買ったばかりの雑誌を取り出して見せる。
雑誌の表紙が真っ二つに破られてあった。