真夜中の太陽
・はじまり・
永輝に会いたくて、携帯の番号を押す。
でもいつも、最後の一桁が押せずに諦める。
あたしにそんな権利があるのかと思う。
好きだから、一緒にいたいから、会いたい。
そう思うことは勝手だ。
だけど、それを行動に移す権利なんて、あたしにはない。
そんなことが許されるのは、かんなさんだけ。
あたしじゃ、ない―――。
いつも以上に会いたいと思った夜、永輝は来なかった。
自分が一番会いたいと思った夜に来ない。
あたしはそれにただ耐えなければならない。
「………」
そういえば…。
ここ最近ポストを覗いていなかったなと思い、一階にある集合ポストに向かう。