真夜中の太陽

いろんなことを問いつつも、身体は冷静で、自然に部屋へと戻りホウキとチリトリを持ってくる。

あたしはカミソリをホウキでチリトリに掃きこみ、何事もなかったかのように部屋に戻った。



暖房の効いた暖かい部屋で、カミソリが入ったままのチリトリを眺める。

自分なりに筋道を立てて考えてみた。


まずこれが、あたし宛なのかということ。

このアパートの誰かへの嫌がらせのつもりが、間違ってあたしの所に紛れ込んでしまったのか……。



考えた後、鳥肌がたち、体中が凍てついた。


このカミソリがあたし宛なのだと、気付く。

ポストには『沢井』という名前を入れていたからだ。

同時に、几帳面なここのアパートの住人は、全員がポストに名前を入れていた。

同じ名字の住人は誰もいない。



〈ブルルルル……〉



携帯の着信音とともに、バイブの振動がテーブルを振るわせる。

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