真夜中の太陽
永輝は軽くあしらったあたしを見て、静かに笑う。
「……そうだね。不思議に思うよね」
なにかをあきらめたようなその表情に、あたしは、素直に自分の気持ちを伝えるべきだったんじゃないかと、少しだけ悔やむ。
「かんなとは昔付き合ってた」
言葉を濁すことなく、永輝はストレートに言う。
後頭部を金属バットで殴られたような気持ちになる。
ただの友達関係ではないことくらい、分かっていたはずなのに。
いざ、永輝本人の口から言われると、やっぱりショックだ。
「柚羽ちゃんと出会うずいぶん前に別れたけど、かんなの方は…」
「まだ、好きなんだ」
目で『そうだよ』と永輝は答える。
「最初に好きになったのも、付き合おうと言ったのもオレの方だった。勝手だけど、別れを切り出したのもオレの方だった」