真夜中の太陽

永輝は軽くあしらったあたしを見て、静かに笑う。



「……そうだね。不思議に思うよね」



なにかをあきらめたようなその表情に、あたしは、素直に自分の気持ちを伝えるべきだったんじゃないかと、少しだけ悔やむ。



「かんなとは昔付き合ってた」



言葉を濁すことなく、永輝はストレートに言う。

後頭部を金属バットで殴られたような気持ちになる。

ただの友達関係ではないことくらい、分かっていたはずなのに。

いざ、永輝本人の口から言われると、やっぱりショックだ。



「柚羽ちゃんと出会うずいぶん前に別れたけど、かんなの方は…」

「まだ、好きなんだ」



目で『そうだよ』と永輝は答える。



「最初に好きになったのも、付き合おうと言ったのもオレの方だった。勝手だけど、別れを切り出したのもオレの方だった」

< 128 / 265 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop