真夜中の太陽
あたしはただ、黙って頷きながら永輝の話を聞く。
かんなさんを羨ましいと思った。
永輝に思われて、『永輝の彼女』というポジションを確立して、みんなの前で堂々としていて……。
「先に好きになったオレが別れ話を持ち出したこと…かんなにしてみれば、信じられない思いでいっぱいなんだ」
「そんなの…関係ないよ。先に好きになったとか、後から好きになったとか」
ぽつりぽつりと独り言のように言うあたしを永輝は憂いを帯びた目で見つめる。
「何度も別れ話を切り出すうちに、かんなはリストカットするようになった」
リストカット……。
自分の体を傷つけてまでも、永輝を引き止める思いの深さ。
「それが、かんなさんのそばにいる理由なのね」
「……ん……」
「……じゃあ、どうして…」