真夜中の太陽

「はい。好きな方をどうぞ」



永輝の大きな手のひらに、キャンディが二つ寄り添っている。

いちご味と、コーヒー味。

永輝はいちごってガラじゃなかったから、あたしは迷いもせずにいちご味のキャンディを選んだ。


キャンディを口に入れてしばらくすると、何かやわらかい物が舌に触れた。



「中に何が入ってるの?」




果汁のような、キャラメルのような、不思議な舌触り。

永輝は優しく笑って言う。



「――……愛情」



優しい笑顔と、言葉と、そして、許されないこの時間。

どうしてこんなにも矛盾しているんだろう。

泣きそうになった。

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