真夜中の太陽
永輝への思いが深すぎて、リストカットする彼女。
そんな彼女の目を盗んで会っているなんて、言えない。
かんなさんがあたしのアパートに来た夜から二週間経った。
永輝からは連絡もなかったし、会うこともなかった。
嫌がらせも、あたしへのクレームもこの二週間は全くなかった。
平穏な毎日。
永輝への思いだけは、変わらず、募り続ける。
真夜中の、ドアをノックする音を待ち続けていたある日。
その音が、久しぶりに鳴った。
かんなさんに部屋を知られてしまっているから、一応、警戒してドアスコープを覗く。
「……?どちらさまですか?」
男の人だった。
永輝ではないことがすぐに分かる。