真夜中の太陽
車内の温かい空気が心地よい。
ほんのりと漂う香りは、永輝の匂いとは少し違っていた。
永輝もこの車に乗ったことがあるのかな、なんて思う。
「どうして、遼太郎くんの家?」
「姉さんにアパート、バレたんでしょ?」
「……姉さん?」
「かんなさん」
かんなさんを「姉さん」と呼ぶ遼太郎くん。
ただの顔見知りという関係ではないことが分かる。
同時に、あたしだけが部外者という立場なんだという疎外感。
「姉さん、オレの家は知らないんだよ。永輝くんにいろいろ話を聞いて、じゃあオレの家なら安全圏だなってことになってさ」
「……ごめんなさい」
「謝ってばかりだ。さっきから」
「そうね」
初めて会うのに、あたしたちは、永輝とかんなさんという共通点から次から次へと話した。