真夜中の太陽

車内の温かい空気が心地よい。

ほんのりと漂う香りは、永輝の匂いとは少し違っていた。

永輝もこの車に乗ったことがあるのかな、なんて思う。



「どうして、遼太郎くんの家?」

「姉さんにアパート、バレたんでしょ?」

「……姉さん?」

「かんなさん」



かんなさんを「姉さん」と呼ぶ遼太郎くん。

ただの顔見知りという関係ではないことが分かる。

同時に、あたしだけが部外者という立場なんだという疎外感。



「姉さん、オレの家は知らないんだよ。永輝くんにいろいろ話を聞いて、じゃあオレの家なら安全圏だなってことになってさ」

「……ごめんなさい」

「謝ってばかりだ。さっきから」

「そうね」



初めて会うのに、あたしたちは、永輝とかんなさんという共通点から次から次へと話した。

< 149 / 265 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop