真夜中の太陽

この車があたしで、三日月は永輝みたいだ。



「永輝くんと何かあった?」



遼太郎くんは心配そうに、あたしをちらりと一瞬だけ見る。

かんなさんを姉さんと呼ぶこの人は、誰の味方なのだろう。

人間不信に陥ってしまいそうだった。



「せっかく連れてきてもらったのに、ごめんね」



あたしは何があったのか話さず、ただ、謝る。



「そんなこと…。永輝くんと会ったんでしょ?」



遼太郎くんは話を元に戻す。

何度話を摩り替えても、この人はきっと話を元に戻してしまうのだと思った。



「……かんなさんがいたの」



窓の外を見ながらぽつりと呟くと、遼太郎くんが急ブレーキをかける。

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