真夜中の太陽
「ここはさ、柚羽さんみたいな一般人には『けやき通り』って呼ばれてるけど、オレらみたいなヤツの間では『国道』で通ってるんだ」
「……国道。…って、まんまじゃないの」
「まあね」
あたしの突っ込みに、遼太郎くんは永輝と同じように静かに笑う。
「週末になると、永輝くんを先頭にして暴走を繰り返してた。今も、永輝くんの後を継いだ総長が仲間を引き連れて暴走してる」
「遼太郎くんも?」
「うん」
あたしの知らない永輝の世界。
あたしと出会う前の、永輝の世界がそこにあった。
「永輝くんはね、先代の総長に助けられたことがあったんだよ」
「……かんなさんのお兄さん?」
「うん。対立していた族に仲間を拉致られて、永輝くんは助けに行ったんだけど、半殺しに遭ってね」