真夜中の太陽
遼太郎くんは、ジャケットからタバコとライターを取り出す。
風で火が消えないように、ライターを片手で包み込むようにしてタバコに火を点ける。
永輝と同じ火の点け方。
永輝のいとこで、どことなく似ている遼太郎くんの姿と永輝が重なって涙が出る。
「泣くなって」
遼太郎くんはあたしの頭を優しく撫でる。
視線は国道を向いたまま。
あの日、アパートの鍵を失くして永輝の車で探しに行った時、永輝も同じようにあたしの頭を撫でて、同じことを言った。
なくした鍵はまだ見つかっていない。
永輝の気持ちも、分からない。
「国道はね、永輝くんの一番好きな場所なんだよ。これはオレだけが知っていて、姉さんも知らない」
「永輝の好きな場所…」
「うん。嫌なことがあった時や一人になりたい時、永輝くんはいつもここに来るんだよ」