真夜中の太陽
笑ってそう言うと、永輝はあたしの髪の毛をくしゃくしゃと撫でた。
「……本当に、自分のことは後回しなんだな」
「そんなことないよ」
自分のことを後回しにしたことなんてなかった。
かんなさんという存在を知りながら、永輝と会っていた。
かんなさんがリストカットを繰り返すことを知ってもなお、あたしは永輝に会いたくて、遼太郎くんの家に行った。
そして今だって。
永輝を追い返すこともできたのに、あたしは永輝を部屋に通した。
そういうあたしは、自分を後回しにしてるんじゃない。
自分の欲望を最優先しているんだ。
「柚羽、ごめんな」
「……なにが?」
「昨日のこと」
「……ううん。謝ったりしないで」