真夜中の太陽
昨日の光景がフラッシュバックする。
バスタオル一枚のかんなさん。
二人の身体にあったキスマーク。
でも、涙が出ることはなかった。
ただ、溜息だけが出そうになったけれど、永輝の手前、あたしはそれを呑み込んだ。
「ねぇ、永輝。……抱いて?」
あたしは何の感情も持たずに、そう永輝に切り出す。
永輝は驚いた顔をして、タバコを灰皿に押し付けた。
義務でそばにいるだけのかんなさんを抱けるのなら、同情であたしを抱くことだってできるんじゃないかと思った。
でも、それは、あたしの思い違いで……。
「できないよ」
永輝のその言葉に、あたしは惨めになってきて、永輝から目をそらした。
テーブルの上に置かれたコーヒを、意味もなくスプーンでかき混ぜる。
いつもは永輝がコンビニで買ってきたお菓子やジュース、あたしの大好きな杏のお酒が並ぶテーブル。