真夜中の太陽

予想もしていなかった永輝の言葉に、一瞬驚く。



「また来るし」

「……そうね」



きっとそれは、あたしをどん底まで落ち込ませないように言った、永輝の優しさなんだと、柔らかいその表情を見て思った。



「今日はバイトだった?」



永輝は話を摩り替える。



「うん。今日はちょっと忙しかったかな」



あたしも話を戻さずに答える。



それをきっかけにして、あたしたちは他愛ない世間話を始めた。

些細なことで、バカみたいに笑い、ちょっと深刻に考え込んだりして。


いろんな話をしたけれど、あたしたちの未来、かんなさんのことは何も話題にならなかった。

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