真夜中の太陽
その音が夢の中ではなく現実のものであると気付くのに、そう時間はかからなかった。
眠たい目を擦りながら、枕もとの時計を見る。
時計は7時を指していた。
かなり眠ったように思えたけれど、まだ二時間しか経っていなかった。
「こんな時間に…」
早朝に誰かが訪ねてくるなんて、このアパートに住み始めてから初めてのことだった。
………誰だろう。
寝起きだったから、ノロノロと亀のようにゆっくりとしか動けない。
しかも、たった二時間、中途半端に眠っただけだったから、頭そのものが回っていなかった。
ベッドから起き上がり、二、三歩歩いてから、ようやくハッとする。
―――もしかして……。
あたしの動きはカメからウサギへと瞬時に変わる。
玄関までの短い距離をパタパタと走り、玄関のカギとチェーンを素早く外した。