真夜中の太陽

その音が夢の中ではなく現実のものであると気付くのに、そう時間はかからなかった。


眠たい目を擦りながら、枕もとの時計を見る。

時計は7時を指していた。

かなり眠ったように思えたけれど、まだ二時間しか経っていなかった。



「こんな時間に…」



早朝に誰かが訪ねてくるなんて、このアパートに住み始めてから初めてのことだった。


………誰だろう。


寝起きだったから、ノロノロと亀のようにゆっくりとしか動けない。

しかも、たった二時間、中途半端に眠っただけだったから、頭そのものが回っていなかった。


ベッドから起き上がり、二、三歩歩いてから、ようやくハッとする。



―――もしかして……。



あたしの動きはカメからウサギへと瞬時に変わる。

玄関までの短い距離をパタパタと走り、玄関のカギとチェーンを素早く外した。

< 186 / 265 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop