真夜中の太陽
どこぞの新婚夫婦のように、玄関で軽くキスを交わす。
一番、幸せを感じる瞬間。
永輝が部屋を出て行き、パタンとドアが閉まる。
あたしも準備しないと、遅れちゃう…。
踵を返した瞬間、靴箱の上に視線を奪われる。
「………?」
キーホルダーがついた一本の鍵。
見覚えがあったし、久しぶりに見たような感じがした。
「これって……」
あの日、カラオケボックスで失くした鍵だ。
探しても見つからなくて、永輝と一緒に実家まで合鍵を取りに行った。
今となっては懐かしいなと、思い出に浸っていたあたしはふと我に返る。