真夜中の太陽

どこぞの新婚夫婦のように、玄関で軽くキスを交わす。

一番、幸せを感じる瞬間。


永輝が部屋を出て行き、パタンとドアが閉まる。

あたしも準備しないと、遅れちゃう…。


踵を返した瞬間、靴箱の上に視線を奪われる。



「………?」



キーホルダーがついた一本の鍵。

見覚えがあったし、久しぶりに見たような感じがした。



「これって……」



あの日、カラオケボックスで失くした鍵だ。

探しても見つからなくて、永輝と一緒に実家まで合鍵を取りに行った。


今となっては懐かしいなと、思い出に浸っていたあたしはふと我に返る。

< 189 / 265 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop