真夜中の太陽

永輝には、あの頃と同じあたしを見てもらいたいから。



コートを羽織って、あたしは玄関へと向かう。

靴箱の上にあの日失くした鍵はなくて……

さっき迎えた永輝との幸せな朝は、やっぱり夢だったのだと改めて思い知らされた。



昨日に続いて訪れた、永輝の好きな場所・国道。


一人になりたいとき永輝がここに来ると遼太郎くんが言ってた。

毎日のようにここに来れば、一度くらいは会えるかもしれない。



永輝に会えたら……。

永輝の本当の気持ちを聞きたい。


もしも永輝も、あたしと同じ気持ちだったとしても……

あたしと永輝が一緒になることなんてない。


かんなさんの気持ちを無視することなんてできない。

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