真夜中の太陽
「どうぞ」
部屋の中に迎え入れられたその人の手には、車の鍵とコンビニの袋。
薄手のコンビニの袋から透けて見える、たくさんのスナック菓子と、あたしの大好きな杏のお酒。
玄関から部屋までの短い廊下。
先に部屋に入るその人の後ろ姿を見つめながら、あたしも後に続く。
全身を黒でコーディネートしたシックな装い。ほんのりと茶色い長めの髪の毛は、無造作にセットされている。
微かに香る香水の優しい匂いが、後に続くあたしの鼻を気持ちよくくすぐる。
あたしの大好きな人。
真夜中にしか会えない大切な人……――。
こんなにも好きで、思いさえもきちんと伝えているのに、どうしてあなたはいつも、曖昧な答えしか返してくれないのだろう。
どうしていつも、ただ、静かに笑うだけなのだろう……――。