真夜中の太陽
「あっち行ってよ!」
怒りにまかせて怒鳴るあたしに、彼はひるむことなくボソリと言葉を発した。
「誰か、探してるの?」
「………?」
「赤い……スポーツカー…」
その言葉にあたしの中から怒りという感情が一気に吹き飛んだ。
あたしは我を忘れて、彼に「永輝を知っているの!?」と縋り付いた。
人生、そんなにうまくいくもんじゃない。
彼は永輝のことなんて何も知らなかった。
ただ、赤いスポーツカーを見ては運転席を凝視していたあたしを遠くから見ていて、誰かを探しているのか?と気になっていたらしい。
確かにそうだ。
永輝が事故で死んだかもしれないということを知って……
あたしはそんなこと絶対にあり得ないと意地になっていた。