真夜中の太陽
だから、たまに赤いスポーツカーを見かけると、永輝でありますようにと強く願って運転席をじっと見た。
でも……、
そこに永輝の姿は一度もなかったんだ。
晶と名乗る彼は、永輝を探すのに協力すると言ってくれた。
峠で起きた事故のことを話そうかとも思ったけれど、あたしは……認めたくなかった。
生きているにしろ、死んでいるにしろ、いつかは永輝の現実を知ることになるかもしれない。
だけど……。
まだあたしには、そんな勇気がなかったんだ。
『柚羽!』
永輝のあたしを呼ぶ声。
ずっと…ずっと、胸の奥に残っている。
たった一度の、キス。
何の意味があったのかなんて、あたしは未だに分からない。