真夜中の太陽

……あたしは…何をやっていたんだろう。


永輝を失ったと同時に、他にも大切なものを失っていることに今頃気付くなんて……。



――……だけど……。



まだ胸の辺りに残る、この晴れない気持ちは何だろう。



永輝にもう二度と会えないこと?

自分の生活を見失っていたこと?



違う……。

もっともっと、大切で、重要なこと……。


どうして…思い出せないの……?



ただなんとなく分かるのは、そのことがひどく悲しいものだということだけ……。

思い出せないけれど、きっと身体のどこかが記憶しているんだ。


無意識のうちに自然と零れ落ちる涙。

それは、永輝を失った悲しみに対するものなんかじゃない。

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