真夜中の太陽

コーヒーを出すと、かんなさんはテーブルに置かれた灰皿をじっと見ていた。



『あなた、タバコ吸うの?』



まるで、永輝のことを確認するような言い方。

あたしは灰皿を下げた。



『いえ、ちょっとしたゴミ箱です。テーブルに置いていると何かと便利なんで』



そう笑うあたしの心が痛んだ。

永輝が使ってくれていた灰皿を、小さなテーブルで主人を待つ灰皿をゴミ箱だなんて。


けど、他になんて言えば?

あたしには何も思いつかなかった。



『永ちゃん、最近ここに来てる?』



あたしが座った瞬間に、かんなさんが切り出した。

やっぱり、永輝のことで来たんだと、改めて思う。

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