真夜中の太陽

指輪には永輝くんのどんな思いが込められていたんだろう。

はっきりとした意味は分からないけれど、永輝くんは柚羽さんをこんなにも思っていたんだ……――。




「……はい、これ……」



柳諒子に初めて会った日から一ヶ月ほど経ったある日。

腑に落ちないような表情を浮かべながら、柳諒子は小さな瓶を俺に差し出した。

瓶の八分目くらいまで入っている、濁った白色の粉末……。

それは柚羽さんの骨だった――。



「ありがとう」



柚羽さんの骨を手にした瞬間、胸が苦しくなった。


この人と接したのは、たった一日だった。

永輝くんと会わせるために協力した。

うまくいくはずだったのに、無残にもそれは最悪な結果となり、この人は俺の前で泣き崩れた。


永輝くんが何よりも大切にしていた人……。

< 244 / 265 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop