真夜中の太陽

柚羽さんへの嫌がらせが永ちゃんにバレて。

永ちゃんは彼女を守るために、あたしに頭を下げた。



『もう柚羽とは二度と会わないから。そのかわり、二つ、オレの頼みを聞いてほしい』

『最後に一度だけ、彼女と会わせてほしい。それと、彼女に変なマネは二度としないでほしい』



永ちゃんがあたしに頭を下げてまで頼みごとをするのは初めてだった。

どうして……?

あたしと彼女、何が違うの?

どうしてあたしを見てくれないの?



最後の夜に、永ちゃんと柚羽さんの間に何があったのかなんて分からない。

だけど、柚羽さんと会わなくなった永ちゃんは、いつも遠くを見ていた。


あたしを見ていても、見ていない。

あたしの身体を通り越して、ずっとずっと遠くを見ていた。



『……柚羽……』


時々、耳にした永ちゃんの寝言。

愛しそうに柚羽さんを呼ぶ永ちゃんの顔は幸せに満ちていて。

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