真夜中の太陽
あたしには一度も見せなかった、穏やかな表情に……
柚羽さんに永ちゃんを託そうって決めたんだ。
それなのに……
柚羽さんの部屋で見つけた灰皿。
あたしの決心は一瞬で脆く崩れ落ちた。
ここに永ちゃんは来ていたんだ。
永ちゃんが大切にしていた彼女。
あたしに似ている彼女。
あたしの方が永ちゃんのことをよく知っているのに。
柚羽さんよりも永ちゃんと過ごした時間は長いのに。
後から入り込んできたあなたが、
どうして永ちゃんから、強く深く愛されるの――?
悔しくて、惨めで……
クリスマスの日に永ちゃんが買ってくれた指輪……
あたしが自分で選んで、永ちゃんはただお金を出しただけの指輪。
まるで永ちゃんの意思で贈られた意味のある指輪のように柚羽さんに見せつけ……
ありもしない妊娠騒動の作り話を嬉しそうに話して……
彼女を追い詰めた。