真夜中の太陽

そして……――。

あたしは我を忘れて永ちゃんが使っていただろう灰皿を、柚羽さんの部屋のベランダから投げ落とした。



『やめて……っ』

『―――!!』



たかが灰皿じゃない……。

永ちゃんが使っていた……、ただそれだけじゃない。


どうして?

どうして、投げ出された灰皿を守るように、あなたも身を投げるの?



ドン……ッ……!



『キャーッ!!』

『人が落ちたぞー!!』



粉々になった灰皿の破片がキラキラ光っていた。

柚羽さんの身体から真っ赤な血が流れ出し、破片をじわじわと包み込む。


どうして……どうして……?

咄嗟に柚羽さんの元に駆け寄ると、彼女はあたしを睨みつけた。

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