真夜中の太陽


――神様。

どうして、あたしだけ助けたのですか?

死ぬべき人間は、あたしだけでよかったのに。

永ちゃんをどうして連れていったの……?




「――姉さん……」



八年ぶりに出た塀の外。

迎えに来たのは遼太郎くん一人だった。


静かに笑うところが永ちゃんにとても似ていて。

遼太郎くんが笑うたびに、あたしは永ちゃんを思い出す。



「頼まれたやつ、持ってきた」

「……ありがとう」



遼太郎くんはコートのポケットから、白濁色の砂のようなものが入った瓶を取り出した。

永ちゃんと、柚羽さんの骨……。

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