真夜中の太陽
その慌てぶりと、真っ赤な顔。
「はいそうです」と言ってるようなもんでしょうが、村岡くん。
クスクス笑っているとあたしの耳に、思いもしない人の名前が飛び込んでくる。
同時に、トングで掴んだ厚揚げがゆっくりと落ち、おでんのつゆが周囲に激しく飛び散った。
「今、なんて言った?」
あたしは飛び散ったおでんのつゆを拭きながら、村岡くんに聞き返す。
「だから!結崎さんが借りたビデオを返しに行くんだって!」
「なんで村岡くんが?」
「結崎さんが借りたやつを、オレがまた借りしたんだよ」
突っ込むようにして聞くあたしに、村岡くんは面倒くさそうに答える。
「どこのレンタルショップ?」
「ほら、すぐそこの……」
「ああ!あそこ!」