真夜中の太陽
「いいよいいよ、酔っ払いの扱いは慣れてるから」
「本当ですか?じゃ、お願いしちゃお!」
あたしから遠く離れた席に移動する諒子の姿が見えた。
「すみませんね、あたし、酔ってるみたいで」
「そうとう飲んでたよね。今ので7杯目だよ」
なんで、知ってるの?
あたしが生ビールを何杯飲んだのか、たったそれだけのことなのに……。
結崎さんがきちんと把握していたというだけで、胸がじんと熱くなった。
「結崎さんは下の名前、何ていうんですか?」
知っているくせに、聞く。
頭の中はぐちゃぐちゃだった。
けれど、遠い存在に思えていた結崎さんがあたしの隣にいる。
ただそれがすごく嬉しかった。