真夜中の太陽
「もしもし。柳さんいる?………あ、柳さん?あった?……あ、本当。こっちもなかったよ。うん、うん……。じゃ、そっちに行くね」
電話を切ると同時に車を走らせる。
車の中に響くのは、声を押し殺して泣くあたしのしゃっくり。
結崎さんは器用にも、あたしの頭をずっとずっと撫でながら車を運転していた。
店に着くと、外で諒子が待っていた。
結崎さんと諒子にあたしは何度も謝った。
2人とも笑って、
「失くし物なんて誰にだってあるわよ」
「大丈夫、なんとかなる」
と笑い飛ばしてくれた。
「柳さん、送るよ。オレ、明日はバイトも学校もないから、後のことはまかせて」
「え?」
後のことはまかせてという言葉に、あたしも諒子も過敏に反応して、同時に結崎さんの方を見た。