真夜中の太陽
さっき、あたしが望みをかけて貼り付けた電話番号のメモ。
今となってはおかしくて笑いが出てくる。
叶うわけがない。
だって彼女いるんだし。
あたしは、ただのバイト仲間にすぎないんだし……。
それでも、あたしは精一杯あがいて、『もしかしたら』という砂粒の一片のような淡すぎる期待を抱いてメモをそのままにしておいた。
「結崎さん、辞めるんだって」
翌日、大学での昼食時に諒子が村岡くんと同じことを言ってきた。
たった一日で随分気持ちも落ち着いてきたから、あたしは普通に聞き入れることができた。
「そうみたいね。昨日、村岡くんから聞いた」
他人事のようにさらりとかわすあたしを、諒子がじっと見て言った。
「あんた、結崎さんを好きなんじゃないの?」
昔からそう。
諒子はすぐに人の気持ちを言い当ててしまう。