真夜中の太陽
急いで店に向かったからといって、結崎さんにすぐ会えるわけじゃない。
結崎さんが店に来るのは21時半ぐらい。
まだ何時間もある。
それなのに。
頭では分かっているのに、走る足を止めることはできなかった。
「お疲れ様です!」
勢いよくバックルームのドアを開ける。
そして、中に入らずに、すぐにドアを閉めた。
―――あたし、マジでヤバイかも……。
頭の中で、たった今ドアの向こうに見えた残像が再現され、あたしの心臓はドクドクと波を打った。
ドアを開けた瞬間、初めて言葉を交わした日の結崎さんの姿があった。
イスに座って足を組み、コーヒー片手にタバコを吸っていた。