真夜中の太陽
村岡くんは背筋をシャキンと伸ばし、レレレのおじさんのように、大げさに床を掃き始めた。
店長はあたしと交替でシフトに入ることになっていたけれど、二時間も早く出勤してきた。
「こら村岡、バレバレだぞ」
だらけモードになっていた村岡くんの姿を駐車場から見ていたらしく、店長が軽く蹴りを入れる。
村岡くんは、「へへへ」と笑ってごまかす。
あたしと村岡くんは黙々と仕事を再開した。
一日のバイトが終わり、アパートへと帰る。
ドアを開けると冷たい空気が充満していて思わず身震いする。
急いで暖房を入れた瞬間、バッグの中の携帯電話の着信音が鳴った。
もう、何も期待していなくて、携帯を取るスピードも随分と落ちた。
「……?」
知らない携帯番号が表示されていた。
ワン切りかと思ったけれど、着信音は延々と鳴り続ける。