真夜中の太陽

あたしと諒子の制服姿を見て、あたしたちがそろそろ店に出ないといけないと悟った志穂ちゃんは、「ごめんね」と頭を下げ、店を後にした。



「信じられないよねぇ。会ってることもあるみたいだし」



志穂ちゃんが帰った後も諒子の怒りはおさまらない。

あたしは諒子の愚痴に、ただ「うん」としか言えなかった。



諒子は昔からそう。

彼女のいる男に手を出すことが許せないタイプ。


諒子自身も誰かを好きになると、まず彼女がいるかをリサーチして、フリーだったらアプローチする。

彼女がいれば、告白することもせず諦めるか、密かに思い続けるかのどちらかだ。



そうなってしまったのには、理由がある。

過去に、諒子の彼氏に告白してきた女の子がいた。

諒子と彼氏は順調だったけれど、その告白を機に、彼氏はその女の子のことが気になりだして、そして、好きになってしまったのだ。


その後の恋愛で、告白によって相手が自分を好きになるなんておこがましいことはもちろん思っていない。

だけど、『万が一』という過去の自分を思い出して、彼女もちの好きな人にプッシュすることをやめた。

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