キミ中毒。



あたしは奈津のほうに視線を戻した。


しょうがない。
あとでなぐさめてあげよう。
それしかない。


こいつのわがままは、あたしじゃどぉにもできない。
絶対、引き下がってくれない。



しーんとする。
どんどん、重くなっていく空気。




 「昨日、米倉に聞いたんだけど、肝試しで、『ベストカップル賞』ってのがあるらしいぜ」



仁くんが急にコトバを口にした。



あっ、きっと空気を軽くしようとしてる。
本当、優しいんだから。
ちょっと笑顔になれる。


 「そぉなの?ってか、その米倉って、誰?」


 「肝試しの主催者。昨日、オレらをおどかしてきたヤツ」




< 103 / 134 >

この作品をシェア

pagetop