キミ中毒。
あたしは奈津のほうに視線を戻した。
しょうがない。
あとでなぐさめてあげよう。
それしかない。
こいつのわがままは、あたしじゃどぉにもできない。
絶対、引き下がってくれない。
しーんとする。
どんどん、重くなっていく空気。
「昨日、米倉に聞いたんだけど、肝試しで、『ベストカップル賞』ってのがあるらしいぜ」
仁くんが急にコトバを口にした。
あっ、きっと空気を軽くしようとしてる。
本当、優しいんだから。
ちょっと笑顔になれる。
「そぉなの?ってか、その米倉って、誰?」
「肝試しの主催者。昨日、オレらをおどかしてきたヤツ」