キミ中毒。




 「あのさぁ、この空気、やめにしようぜ」



仁くんが、あたし、優奈、竹島くんの心の中を代弁してくれた。
一瞬、あたりの空気がはりつめる。


 「・・ごめんね・・。何か、二日目で。あたしのせいだし・・・」



 「んなコト言ってるんじゃねぇし」

仁くんが、いつにも増して弱気な奈津を、きびしく見つめた。
すわりこんでいた長いすから、立ち上がる奈津。



 「あきらめんなっつってんだよ。一回男にフラれたくらいで、何ショゲてんだよ。バーカ。人を好きになるのは、んな簡単にあきらめられるもんじゃねぇぞ?お前は、一回フラれたくらいで、ショゲて、みんなに迷惑かけて、んで、健のコトあきらめんのかょ!?」



何で知ってるんだ、コイツ。
一人心中でツッコミの手。


 「二人して黙ってるトコみてれば、何があったかくらいわかるっつーの。んで、春樹のクソバカが奈津の背中おしちまったんだろ。見てたし。あーぁ。バカばっか」



 「はぁ!?何よ、それ!あたしが考えなしみたいじゃんッ。あたしは、遅かれ早かれ告白するべきだなーって思ったんだもん・・・」



 「バカ、それがいけねぇんだろ!?お前、健が誰を好きでいんのか知ってるのか??」


 「知るわけないじゃん」





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