ショート・ミステリーズ!短編集その2
雨が激しくなってきた。ワイパーの回転を速くしても、すぐにフロントガラスは雨滴に閉ざされる。

中村弘はタクシーの運転手をしていた。地方まで客を乗せたため、こんな真夜中まで田舎道を走るハメになった。

この辺は幽霊が出るとの噂だ。

確かに、あちこちに竹藪があったり、首の崩れた地蔵様がハイビームの中に一瞬だけ現れたりする。あまり気持ちのいい場所ではない。
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