ショート・ミステリーズ!短編集その2
勝負は、一瞬だ。

僕は両手で剣を構えた。ずいぶん刃こぼれができている。死ぬのは僕か魔王か。

魔王の背後にある鉄の檻の中で、フラウ姫がぐったりしゃがみ込んでいる。


僕はダッシュした。大きく振りかぶり、魔王のアタマに一撃お見舞いしようとする。

その瞬間、ヤツが何やら呪文を唱えた。バク転するような感じで、僕の体が背後に吹っ飛ばされた。

風の呪文だ。剣が魔王にヒットすることなく、僕の手を離れ飛んでいってしまった。
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