また逢う日まで
暗がりの中目を懲らして音がするほうを見ていると言葉を失うほどの光景が目に飛び込んで来た。



「すっかり遅くなってしもうたわ。はようお宿へ向かわんと!」


声からして女だろう。


牛車が勝手に動いており上には女が乗っていた。



暗いためはっきりはわからないが牛車の後ろで何かが蠢いている。


人間や動物のように原形を留めている物体ではないのだけはわかった。



現実ではあり得ない現象であることに間違いはないだろう。



ドクン。ドクン。


“これってお化けなんか?見たことないし、気味悪いなぁ。見つかったらヤバイんじゃないか!?どうしよ…。”


見つからないことを祈って八雲は息を潜めていた。

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