また逢う日まで
「うわぁ!」


ズザザザザザザア!



叫びながら後ずさり壁に思いっきり背中をぶつけていた。




「アッハ。あんさん、今日迷子になってはったやろ?」



おどけた笑顔で風に話し掛ける。


気付いていた…。

暗闇の中で息を潜めていたのに、気付かれていた。




年齢は17歳前後だろう。

旅館の女将よりも若く見える。


パクパクと口を開け閉めするしかない風だった。



それもそのはず。


見た目は人間と変わらないのに瞬間移動という人間業ではないことをやってのけたのだ。



「ん〜?どないしたん?顔色悪いで?」


さらに風に顔を近づけて来た。



言葉にすることができず風はその場で呆然としているしかなかった。
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