また逢う日まで
“わーわー!こっこれ以上はぁ!キッ、キスしちゃう…!”


キスするかしないかのギリギリの位置で薩摩は顔を反らしながら言った。


「ほんならええんやけど。」


「だっ、大丈夫です。俺、こう見えて結構口固いんで。」


「まぁ。ええわ。ほなお休み。」


呆れるように薩摩は暗闇に向かって歩き出した。


薩摩の背を見送りながら、先ほどのやり取りが頭を駆け巡っていてしばらくその場で一人夜空を仰いでいた。




“こんな楽しいことが目の前で起きたのに寝てられるか。”


薩摩を見送り、八雲は黒い影の後を追いかけた。


しかし、どこを探しても見当たらない。


黒い影はどこに行ったのだろう……。

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