また逢う日まで
「槿……。睨んでもダメ。早く。」



蓮華は再び槿を急かした。


「はぁい。わかりました~。でわ、お客様参りましょ~。」


プイッと顔を蓮華からそらして槿は黒い影と共に洞窟の奥へと進んでいった。



先は暗く槿と黒い物はすぐに暗闇に飲まれた。


蓮華は槿たちを見送ったかと思うと忽然と姿を消した。



「あっれ~?おっかしいなぁ。旅館の中に入っていったのにどこにも見当たらない。」


旅館の中はさっきの黒い影が通るときの黒い空気じゃなく気持ち悪いくらいに澄んでいる。


八雲は黒い影を探して旅館をウロウロしていた。


すると、廊下でうろちょろしていると奥からパタパタと誰かが走る足音が聞こえてきた。
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