また逢う日まで
「思い当たることはおまへん?」


「ないですね。」


八雲はキッパリと答えた。


「さよか。一つ言うておくけどあんまりこの中をうろつくのはやめなはれ。」


薩摩は真剣な表情で八雲に言い切った。



「はぁ。職業柄、いろいろ探索したくなってしまうんですけど…。意外なところでネタが見つかるかも知れないんで。」



「…あんさん。うちの忠告を聞かないのは自由やけど何があっても知りまへんえ。」


「何か意味深な言葉ですね。そんなこと言われたら余計気になりますよ。」



目を細めて薩摩を見る八雲に薩摩は呆れ顔。



「お好きにしなはれ。」


薩摩はまたしても風のように姿を消した。


“何かあるなぁ。気になる。”



八雲は薩摩が消えた窓から見える庭を見ていた。
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