また逢う日まで
「薩摩さん。いい加減、窓から入るの止めてもらえませんか?」


視線を原稿用紙に向き直して八雲は言う。


「まぁ。固いこと言わんでもええやないの。」



ケラケラして八雲の側に来る薩摩。



「ん!何を書いてはるん?」


「……小説ですよ。大した内容じゃあないんですがね。」


「へぇ。小説は面白いん?」


薩摩は初めて見る原稿用紙をじぃっと見つめている。


「見ていても何にも出ませんよ。」


「まぁ。そやけど。見たことあらへんから気になってもうて。」
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