また逢う日まで
テクテクと旅館の脇の小道を上機嫌に歩いている薩摩。


「姉様。こんなところにいた。」


声のする方へ視線を向けた。


「何や。蓮華かいな。どないしたん?」

「………僅夏さま呼んでる。」

「………さよか。今、行くさかい。」


ウキウキ顔から一瞬にして真顔になった薩摩を見て心境を察したのか、蓮華は薩摩の手を握った。



それに気づいた薩摩は静かに微笑んで僅夏さまのところに向かった。


辺りは虫の声が響いていた。
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