また逢う日まで
ズイッと八雲の顔に近づいてくる夏澄。

“うっ、うわ。顔、近い!近い!”

突然のスキンシップにドキドキしながら平常心を保つ。



「八雲はんは小説家どしたんか。すごいんやね。」


「あっ。いや。そんなことはないですよ。」


目を輝かせて八雲を見る夏澄を見て顔が熱くなるのがわかった。


キラキラした表情で八雲を見る夏澄は何ともいえないくらい綺麗な顔。


八雲は思わずうっとりした。


「八雲はん?どないしはりましたん?」


「あえ?なっ、何でもありません。」


うっとりしていたなんて恥ずかしくて言えるはずもない。


そう考えたら更に顔が熱くなるのを感じた。



「八雲はん!?大丈夫どすか?顔が赤くなってはりますけど。熱でもありますの?」


「いえ。大丈夫です。」


“あなたのせいですとは言えないな…。”


心配する夏澄はホッと胸を撫で下ろす。


その仕草も心奪われるものがあった。
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