また逢う日まで
「夏澄さん。どうしましたか?」


「先ほどお部屋にいてはった方が探しとりましたよ。お部屋に戻ってくれはりますか?」



「え?薩摩さんが?わかりました。では、僅夏さん。夏澄さん。失礼します。」



ペコッと頭を下げて八雲は部屋へと戻っていった。



「あ〜あ。もう少しのところを…。夏澄や。よもや主までわしに楯突く気じゃあないよな?」



八雲の背中を見送りながら夏澄に問う僅夏に夏澄は無言で立っている。


「まぁ。よい。わしに歯向かったところで敵うわけなし。」


ホッホッと笑いながら僅夏は宿の奥へと進んでいく。


「夏澄や。今宵は務めじゃ。よいな?」


「へえ。では、後ほど。」


僅夏は振り向かずに奥へと進み姿を消した。


夏澄は頭を下げて廊下の床を睨みながら薩摩の言葉を思い出していた。

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