チャイムが鳴るまで。



それから、あの人に会う事はなかった。



『はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。』


「お前、肺活量はんぱねぇな。」



振り向くと、同じ水泳部の春樹。


『うっさいなぁ、乙女には長いため息がでるくらいの悩みが一つや二つあんのよ。』

つーん。


男の子はいいよね、楽そうで。


「そんな長いため息してたら酸欠で死ぬぞ。

…じゃなくて、お前この頃どうしたんだよ。タイムも落ちてるし、部活こねぇし…」





『うるさいなー、部活行きたくなくなるくらいの悩みなのよっ』

ただのサボりなんだけど。


「なんだよその悩みってのは。」



『心配してくれるの!?』

「ちげぇよ、大会近いから負けたくねぇんだよ。ばーか」



むぅ、むかつく…。
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